細菌感染によって起こる前立腺炎

前立腺炎は、尿道口から侵入した細菌が、尿路をさかのぼる上行性感染を起こす事によって、発症する事が最も多いと言われています。

女性の場合は、尿道炎から膀胱炎に進展する事が多いですが、男性の場合は、膀胱の手前に前立腺があるため、前立腺炎を起こす事が多い傾向にあります。

それでも、疲労やストレスなどから細菌への抵抗力が弱くなっている場合や、細菌の感染力が非常に強い場合には、男性の場合でも、膀胱炎を併発する事があります。

大腸菌やブドウ球菌といった一般細菌は、もともと人の皮膚や粘膜に存在している常在菌で、それほど強い感染力や毒性はありませんので、大量に繁殖しない限りは、ひどい病変を引き起こすような事はありません。

そのため、それらの細菌が前立腺に入り込んだ場合には、抗生物質や漢方薬を服用する事によって、1～2週間程度で治癒する事が多く、点滴治療を受ける事で、さらに素早く、より確実に完治させる事ができると言われています。

しかし、中には抗生物質への耐性を持った細菌に感染したり、クラミジアなどの感染力や毒性が非常に強い性行為感染症（性病）にかかった場合には、なかなか完治させる事ができず、前立腺に細菌が残存したままの状態になり、慢性的な症状が継続する場合があります。

そして、尿道炎や膀胱炎など、周囲の組織にも炎症を引き起こして、症状を複雑化する事も多い傾向にあります。

このようにして、前立腺炎がなかなか治まらず、慢性化してしまった病態は、慢性前立腺炎または慢性細菌性前立腺炎と呼ばれています。

このような細菌感染による前立腺炎は、陰部や下着の蒸れによって雑菌が繁殖すると、炎症を起こした病変部への感染を促進してしまうため、治りかけては再発を繰り返すケースも多いと言われています。

そして、次第に治りにくくなっていったり、慢性化してしまう場合があります。